子供の成長には個人差があるもの。
それは頭ではわかっていても、我が子の成長が他の子と比べて遅いかどうかが気になってしまうのはしかたのないことです。
「我が子は成長が遅いのかも」と思うことがあれば不安になってしまいますよね。

ところで、そもそも一般的に「成長期」とは何歳くらいを指す表現なのでしょうか。
「成長期」は思春期の数年間、一般的に11〜18歳くらいを意味しています。第二次性徴を始まる心身ともに不安定な時期です。身長が伸びて体格も大人に近づく反面、精神的にはまだまだ幼い部分も多いため、精神的に不安定になりやすいのです。
たいていは、中学生=成長期と考えてよいのですが、早い子供は小学校高学年には始まり、遅い場合は高校生で始まることもあります。
ですから、中学生になったばかりで、周囲よりも若干幼い気がしても心配することはありません。

では、成長期にはどのような変化が表れるのでしょうか。
精神的な変化の特徴としては、自立したいために親からの干渉が疎ましくなるものの、自分が望むときに対応してもらえないと機嫌を損ねるなど、矛盾した言動が目立つようになります。
親から離れる分、友達との付き合いを優先するようになりますが、自意識が強くなっている時でもあるため、「自分のことを本当はどう思っているのか。内心は嫌っていないだろうか」と不安になりやすく、友人関係の悩みを抱えやすくなります。
第二次性徴を迎えたことで、以前よりも異性に対する関心が高まり、結果として情緒不安定になりやすいです。
また、以前と比べて価値観が変わることも多いです。見むきのしなかった分野の趣味に没頭することもあるかもしれません。思春期前に親の言うことを良く聞く素直な子が、やたらと反抗的になったり、好みがガラッと変わったりすることもあるので、親としてはこのままでいいのだろうかと不安になることもあるかもしれません。けれども、付かず離れずの位置で見守っていれば、自分で色々試した後に落ち着きますから、過度に不安になることはありません。
そして、個人差はありますが、抽象的な悩みを抱くこともあるかもしれません。「なぜ、生きているのか」「人生で何をするべきなのか」「勉強や仕事は何のためにするのか」などといったことを考え込むこともあるでしょう。簡単に答えが出る問いでも、共通の答えが存在するわけでもない、自分が納得いく答えを求めて思い悩むことが増えてきます。

それでは、身体的な変化についてです。
「成長期」という名称の通り、この時期には身長が急激に伸びます。それは、成長期の骨にしか存在しない骨端線のおかげです。
成長期の子供の大腿骨の間接近くには、わずかな隙間が空いており、この隙間が骨端線です。一般的に10〜17歳の時期にだけ存在しますので、「骨端線がある時期」=「成長期」とも言えるでしょう。
成長ホルモンがこの隙間の間に軟骨組織を増殖させることで、間接の隙間が広がり、次第に硬い骨へと変化します。その結果、骨が伸びることになって、身長が高くなるのです。
急激に背が伸びる場合には関節あたりが痛くなることがありますが、関節の隙間が広がって骨が成長していたからだったんですね。

身長が伸び悩んでいる子供の場合は、骨端線が現れるのが遅いために成長期が遅れている可能性もあります。